IT(それ)=絶対無(空)=“こころ”

ホロニカル心理学の究極の自己意識の発達の最終段階では、IT(それ)絶対無(空)=“こころ”となります。

この段階では見るもの「IT(それ)」が見られるもの絶対無(空)となります。見るものと見られるものが創り上げる多層多次元にわたる重々矛盾の生成消滅の世界が、そのまま永遠の今・この瞬間・瞬間が全一の絶対無(空)と覚醒します。

こうした現象が自発自展するフィールド自体が、“こころ”といえます。

自己の暗闇の底において、この世を超えた真の自己に出あうのではなく、生死の苦悩のこの世界が、そのままIT(それ)=絶対無(空)=“こころ”であることに自己意識が覚醒した状態が真の自己といえます。

真の自己は、この世と無関係な別世界にあるのではなく、この世そのものの意味に覚醒するといえます。たとえ自己の底の暗闇の魔界に自己意識が彷徨ったとしても、真の自己においてはこの世に自己意識が生還します。井筒俊彦が指摘する「存在の絶対無分節と経験的分節との同時現成こそ禅の存在論の中核をなすものだ。」の境位です。

自己の底や“こころ”の深いところに真の自己は見出されず、ありのままの今・この瞬間・瞬間が、そのまま真の自己といえます。