反復語の見直し

「いつもグタグタしている」「何も変化がない」「やる気にならない」「何もできない」「もうどうでもいい」「死にたい」などの言葉が自覚なく何度も出てくる人がいます。

しかしながら、そうした人たちの多くは、同じ言葉を繰り返すことによって更に自己暗示的になり、かつ視野狭窄になり、自分で自分自身の他の気持ちを実感・自覚する機会をますます失っていってしまいます。

それだけに絶望の極みで苦悩し孤立する人には、絶望の極みでの言葉と闇の世界をそのまま受けとめられる体験を通じて、自己の底には、これまでの言葉だけではとても言い尽くせていない別の気分や感覚があることに目覚めていく機会が保障されることが大切になります。

あらゆる言語表現を拒絶する内奥の絶望を共にしようとする他者の応答によって、世界との絆を修復し再生させることができるのです。たとえ一瞬であろうと世界とのつながり体験は、瞬間・瞬間、ひたすら命を営もうとしている自己自身への存在への実感になっていきます。すると近視眼的で視野狭窄的になっていた自己自身を、適切な観察主体から俯瞰するような状態になり、もっと複雑でいつでも他の可能性をもって生かされている自己に目覚めていくことができます。