不一致・一致(11):ダイナミックな関係

南知多ビーチランドにて

ホロニカル心理学が指摘する自己と世界の出あい不一致・一致は、単純に対立する関係ではありません。もっとダイナミックで柔軟な関係です。

不一致とは、自己と世界の関係が、観察主体と観察対象というように二岐分離する現象を意味します。それに対して、一致とは、観察主体と観察対象の関係が観察主体が無の意識となって主客合一となり、無差別無境界の状態になる現象を意味します。

ダイナミックで柔軟と指摘するのは,自己と世界の関係が不一致になる現象と自己と世界の関係が一致になる現象は、実は同じ現象をめぐる双面的関係にあるということを指してのことです。不一致となる現象と一致となる現象は、背反的関係にありながら、同じコインの表裏のように一体となっています。

不一致と一致は、非一非異(大乗起信論)、絶対矛盾的同一(西田哲学)と相似的なパラダイムです。

多層多次元に区別される出来事も、そのまま全体として一つの出来事として統一されているのです。

自己と世界の区別なき、無差別無分節のあるがままの現象世界が、自己の観察主体となって世界(自己自身を含む)を観察対象として、言語を使って万物を識別する途端、自己と世界の関係は不一致となり、自己と一切合切が多層多次元からなる現象世界に忽然と転じるのです。

しかし不一致・一致の現象は、本来的には「永遠の今(無差別無境界)を、我の意識が何かを意識した瞬間・瞬間において、一切合切がせめぎ合う出来事の世界に転じるのであって、両者の差異は時間的差異によってもたられるのではなく、一致の出来事がそのまま同時に不一致の出来事に転じる現象といえます。