ホロニカル・アプローチによる心理社会的支援の新たな展望:多層多次元の問題解決と共創の道

AIで作成

生活の場に近い地域社会で心理社会的支援に携わる人は、多層多次元にわたる問題が錯綜し苦しむ人たちから、よく少しでも楽になる生き方のアドバイスを求めてくる圧にさらされます。しかし、支援者とて、すぐに答えを出せるわけでもありません。そのため、支援者には、まずは正解を求めてくるかのような圧に耐え忍ぶ力が必要になります。しかし、耐え忍びながら苦しむ人達との対話を繰り返しているうちに、支援者自身にも生活の場の抱えている多層多次元にわたる矛盾を自己に映し取り込むことになります。あたかも支援者にも生活の場の抱える一切合切の矛盾が転移してくるような事態に陥ります。「場の転移」とホロニカル心理学では概念化しています。

こうしたときは、支援者自身が抱え込んだ矛盾を、いったんそのまま支援の場に外在化し可視化することが大切です。そうすれば、みんなで悪循環パターンを俯瞰しながら、少しでも生きやすくなる道を共創する場を創り出すことができるからです。

内的世界と外的世界を共に扱うホロニカル・アプローチは、こうした技法を活用しながら、みんなで問題解決を共創していく実践を積み重ねながら、有効な実践の知に基づく理論と技法を深化させてきました。「多層多次元の絡み合った複雑な問題」「問題の外在化・可視化」「俯瞰」「問題解決の共創」などの重要な概念はこうして誕生しました。

多層多次元の要因が複雑に絡み合って生じる生活上の生きづらさを抱える人の苦悩は、その人だけの問題ではなく、みんなも同じような生きづらさを抱える可能性があります。その人の苦悩は、みんなの苦悩の象徴でもあるのです。だからこそ、みんなで錯綜する問題を解決していくような場づくりが安易な問題解決以上に、まずは大切になるのです。

複雑な要因が錯綜する生きづらさに対応するために、地域社会で伴走型の支援を求められる支援者には、診察室や研究室で培われた臨床の知に基づく専門的支援とは異なる姿勢が求められるのです。それは、支援者が正解を持った専門家としての立場ではなく、「一緒に悩み、一緒に問題解決を模索し、喜怒哀楽を共にする」立場です。長い人生を共にする「親密な他者」となり、当事者と共により生きやすい人生の道を発見・創造していくような姿勢が求められるのです。