自己違和感の共創的俯瞰

ABCモデル

ホロニカル・アプローチの理論や技法の基本的パラダイムをモデル化したのが「ABCモデル」です。このモデルでは、被支援者が抱いている自己違和的体験(A点)を、被支援者の観察主体がA点ばかりに囚われてしまう視野狭窄的状態を、支援者がほどよい距離を持ち、かつ無批判・無評価・無解釈の立場をとる観察主体(C点)から包摂するように照らし返します。<どうも、どうして○○○のことばかりが気になってしまう状態のようですね」と、A点に苦悩する被支援者の状態に共鳴しながらも、支援者自身は、被支援者のA点に呑み込まれないように、A点から一定の心的距離を持った立場から、被支援者の苦悩をあるがままに鏡映的に照らし返します。このとき、A点ばかりに囚われている被支援者の状態を小物を使って外在化すると、被支援者自身が、A点に固着している自分を支援者と同じような適切な心理的距離をもったC点から俯瞰しやすくなります。

被支援者がA点に固着することになる自己違和的体験には、いろいろ考えられます。「どうせ自分なんか生きている価値などない」という認知に関係する違和感、「辛くて重苦しい」といった気分、「頭を両手で抱えて込んでうつ伏せになりたくなる」など動作や仕草など感覚運動に関わるものなどあります。

支援者は、被支援者の認知や気分(情動、感情、情緒を含む)など心的な自己違和感ばかりに焦点化するのではなく、何気ない動作・仕草、姿勢、皮膚感覚、筋肉感覚や身体の内部感覚など身体レベルにも焦点化することが大切です。被支援者は、自らの自己違和的体験が、身体的レベルではどのような形で知らずのうちに立ち顕れているかについて適切な観察主体からあるがままに観察し気づくことができること自体が、被支援者が自分の身体を自己違和的なものから自分自身の身体反応として受け止め、適切な自己自己組織化を促進していく契機になるからです。

自己と世界の出あい不一致の体験の累積は、被支援者の身体への無意識的な反応をつくりだします。こうした身体的反応を、被支援者の内我が自らの身体的自己の反応としてあるがままに直覚できるように支援者が適切な観察主体C点から積極的にサポートすることがとても大切になるのです。特に支援の場において、A点に苦悩する状態を、支援者と被支援者が適切な観察主体C点において同調し共創的瞰俯作業が可能になりだすと、結果的に被支援者の適切な内我や外我の強化や樹立を促進していくことを可能にします。そして適切な観察主体の布置は、被支援者の身体的自己の適切な自己組織化を促進するばかりではなく、被支援者の適切な認知や気分の変容にも波及し、適切な自己の自己組織化の自発自展を加速させていくことを可能にします。