ユングの「元型」に関するホロニカル心理学的考察

ユングは、元型集合的無意識に由来する普遍的な形成原理として考えました。しかし、ホロニカル心理学では、“こころ”(絶対無・空)という根源的な働きから、一瞬・一瞬多層多次元にわたる自己と世界が同時に立ち顕れてくると考えます。その立場からすれば、ユングのいう元型は、あらかじめ心の深層に固定的に存在する構造というよりも、“こころ”の働きが自己と世界との関係のなかで、ある相似的な象徴的な秩序や意味をもったフラクタル構造として立ち顕れてくる現象として捉え直すことができます。

人は多層多次元にわたる存在です。そのことを忘れ、意識の表層で捉えられる思考や価値観だけで自己や他者を理解しようとすると、深層では互いの関係性に大きな不一致が生じ、それが時に存在そのものを脅かす対立へと発展する危険があります。だからこそ、安易な「分かり合えた」という一致を求めるのではなく、人間の深層的な理解は決して容易ではないことを互いに自覚し、その限界を踏まえながら、対話を積み重ねていく姿勢が大切であるとホロニカル心理学では考えます。