自己の多様性と可塑性

自己は、多様性をもった存在であり、多彩な顔と声をもった存在です。

しかし、ある顔やある声に焦点化すると、焦点化した顔と声だけがとてもクローズアップされてしまいます。その結果、他の顔や他の声は沈潜してしまいます。すると、ある顔とある声に焦点化する前の自己と、ある顔とある声に焦点化した後の自己の間には、微妙な差異が起きてきます。

例えば、人が絶叫するとき、怒りという感情に焦点化すればするほど、怒りの感情ばかりが湧出してきてしまいます。そこで、あえて怒りの感情を一旦“こころ”の脇に置くような感じで自己と向きあうと、怒りの奥からさらに悲しみの感情が溢れてくる場合もあります。そして、怒りの感情を抱く自己の底に悲しみの感情もあることに自ら気づくと、怒り一辺倒のときの気持ちとは微妙に変容してきます。。

さらに、もし悲しみの感情を“こころ”の脇に置いて自己と向きあえば、空しい感情が込み上げてくる場合があります。するとさらに複雑な気持ちを抱いている自分自身を実感・自覚することになります。

このように自己とは、私たちが想像している以上に、私たちが何に意識を向けるかでもって変容するような可塑性をもった存在なのです。

ホロニカル・アプローチスポット法はそうした“こころ”の特性を活用した技法です。