外我と内我(2):適切な対話

適切な外我と内我の対話は、内我が直覚する直接体験を外我がどれだけ適切に理解できるかにかかっています。しかし直接体験はたとえ内我であろうと外我であろうと、体験そのものを言葉でもって表現しきることには限界が伴ないます。

そのため適切な対話とは、内我や外我がどれだけ直接体験そのものに接近できるかということにかかっています。より接近できる限りにおいて、内我と外我はより自己一致していくことになります。直接体験の全体を内我が直覚し、かつ外我がそれを自己表現できるようになることがポイントなのです。

しかしながら、さまざまな心的症状や問題を抱えている人は、自己と世界の出あい不一致・一致の直接体験を内我や外我が適切に自己に自己組織化することができません。自己と世界の不一致ばかりが累積する自己照合システムを形成してしまっています。こうした自己照合システムの悪循環パターンは、医学的なカテゴリー診断や分類とは別次元の問題です。

こうした悪循環パターンが明確化したときは、直接体験を外我と内我が適切な対話軸をもって実感・自覚できるようにしていく心理・社会的支援が大切になっていきます。