ABCモデル(2):過覚醒や視野狭窄状態への対応

ABCモデル

内我は多彩な身体症状に圧倒され、外我は、「どうしてだろう」「どうしたらいいんだろう」と思考(頭)の働きばかりが過覚醒状態となってしまう場合があります。

こうしたときは、ホロニカル・アプローチの基本モデルであるABCモデルでいう適切な観察主体(C点)からの「ただ観察」が困難となります。観察主体は視野狭窄的になって、あるこだわりの観察対象(A点)ばかりに不快感や嫌悪感などの陰性の感情を随伴しながら執着しがちになります。観察主体は、観察対象であるA点が気になってしかたがなくなり、適切な観察距離をとれず近視眼的になり、A点に埋没し、まさに「ドツボにはまってしまった状態」となります。しかも、A点を「なんとかしなければ」と強迫的思考が優位になればなるほど、頭痛・めまい・耳鳴りばかりか、舌・口までしびれや痛みなど、多彩な身体症状を強めるばかりの結果になる場合もあります。

こうした状態に陥ったときは、まずはいったん、A点への観察主体の執着を断ち切るために、「深呼吸」や「振り子時計の振り子を、ただ何も考えずボーと眺める(1回20秒を1~2回実施)」などを使って、できるだけ観察主体が、身体が心地よい感覚や陽性の感情が随伴して観察対象と一体化するようなホロニカル体験(B点)が促進されるようにします。するとB点への移行が可能になる度に、少しずつA点執着時の過覚醒状態は沈静化し、身体感覚がほどよい感覚に変容していきます。

変容後、速やかにA点時とB点時の身体感覚の差異の実感を促します。すると身体感覚の差異の自覚とともに、観察主体は、観察対象(A点、B点)に対して、ほどよい距離を保った適切な観察主体のポジション(C点)の獲得が可能となります。

次に、A点への執着が減じるまで、A点とB点の行ったり・来たりの作業(三点法)を繰り返します。するとC点からのA点及びB点の二重注意が可能になってきます。すると、A点から適切な距離を保った観察主体のポジションが安定化してくるにつれ、A点への執着が減じるとともに身体症状が和らいだり、消失したり、A点が遠い感じの観察対象になっていきます。

ただし、この方法によっても身体症状の変容や軽減化がみられなかったり、身体症状がかえって増悪化する場合には、身体医学的な疾病が疑われ、医学的な診断や検査の実施が望まれます。