フラクタル構造(1):多層多次元にわたる自己相似的構造

観察主体は、多層多次元な現象となって顕れる現象に対して様々な観察対象に焦点化することができます。しかも、観察対象を、「ある感情」としたとき、「ある観察主体」と「ある感情(観察対象)」をめぐる関係性のパターンを明らかにすることができます。「自分は怒りに翻弄されている」「自分は怒りを抑え込んでいる」などです。同じように観察対象を「対人関係」としたとき、観察対象を身体反応としたとき、などいろいろなパターンをまず明らかにすることができます。実は、頑固な心的症状や問題ほど、観察主体と観察対象の関係が可塑性を失って、多層多次元にわたって強迫反復的な自己相似的な悪循環パターンを繰り返していることが浮かび上がってくるのです。「観察主体は、○○や○○との関係においては、常に圧倒され翻弄されている」などです。複雑性科学でいわれる「フラクタル構造」が、多層多次元にわたる観察主体と観察対象の関係に見いだすことができるのです。

多層多次元にわたる悪循環パターンが明らかになったら、最も変容可能性のある観察主体と観察対象の組み合わせを観察対象として、より上位の適切な観察主体から、新たな観察主体と観察対象の関係のあり方を、被支援者と支援者が共同研究的協働関係を形成しながら模索することが可能になります。そして、ある観察対象をめぐる観察主体と観察対象の関係性の小さな変容の創発は、他の多層多次元におけるこれまでの観察主体と観察対象の関係の変容といった大きな変容の契機となる可能性を高めることができます。