専門性より関係性

保育士、介護士、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士、保健師、医師、看護師、教師、公認心理師など、あらゆる有資格者は専門性の高さによって他の資格者や無資格者から区別されます。有資格者の支援者と被支援者との関係は、専門性によって特徴づけられるということになります。しかしながら専門性が関係性より重視されすぎると弊害が出て来ます。

特に対人援助においては、信頼関係づくりに代表されるように専門性以前にまず関係性が重視されます

ところが関係性より専門性が重視されると、被支援者は自分の体験プロセスの意味を、どんどん専門家の駆使する専門用語によって説明され、被支援者はいつのまにか自分の言葉でもって語る主体感を専門家に奪われてしまうという根本的弊害が起きます。

被支援者の言葉にならない体験プロセスの意味の明確化や探索を専門家がサポートし、そこに一緒に名を与えていくならばとても意義がありますが、被支援者自身が実感・自覚できていない体験プロセスの意味について、専門家がどんどん名を与えてはならないとホロニカル・アプローチでは考えます。

体験プロセスの言語化の行為は支援者による被支援者に対する共創的支援となりますが、専門用語を与える行為は支援者による被支援者のマインド・コントロールともいえます。両者の差異は、紙一重ですが、被支援者の主体感の有無が決定的な差異といえます。