外我と内我(10):分析と直観

 

外在化(場面再現法)

外我は、観察対象となる世界を外の世界として対象的に分析し、概念的に理解していこうとします。それに対して、内我は、観察対象となる世界を内の世界として直覚的に理解していこうとします。

私たちは、自己と世界の出あいの直接体験を、この2つの我(現実主体)によって把握しようとしています。

外我は観察対象の世界を外我が内在している理(ホロニカル主体:理)によって識別しながら知的に再統合するのに対して、内我は、観察対象の全体をできるだけ、その生々しさのまま感性的に直覚しようとします。この両者は、観察対象に対する観察主体の意識の志向性によって瞬時に変化します。外我も内我も我の中に小人のようにしているわけではなく、自己の脳の機能的な統合作用といえます。

外我と内我は、自己と世界の不一致・一致の出あいの中で、次第に自己内に結実してきた機能的な統合点のようなものといえます。外我の特徴及び外我が内在化するホロニカル主体と、内我の特徴、そして両者の組み合わせは無限であり、それが個性を形成します。個性の形成プロセスには、組み合わせの相似性によって類型化が可能です。外我優位な人は、何事に関しても、分析的で、論理的で、合理的で、知的な志向性を示します。それに対して、内我優位な人は、何事に関しても、直観的で、非合理的で、感性的な志向性を示します。両者のバランスがいい人もいて、状況によって交代する人、両者の関係が切れてしまっている人など、一定の類型化が可能です。また自己の適切な発達を阻害され、発達段階(自己意識の発達段階)が混沌としている場合などがあります。

ホロニカル・アプローチでは、この両者のパターンを小物を使って外在化し、両者の対話を交互に図ったり、両者を俯瞰するホロニカル主体の立場を小物で外在化し、外我と内我とホロニカル主体の対話を促進するなどして、外我と内我のより一致する方向に適切な自己の自己組織化を促進しようとします。