考えることと、考えないこと

ホロニカル心理学は、“こころ”について探究しますが、このとき、相反する態度を取ります。

ひとつの態度は、“こころ”にまつわるあらゆる現象について、徹底的に「考える」ことです。この場合、考えるという行為自体を考えるという意味を含みます。

もう一つの態度は、「考えない」です。ものごとを言葉でもって識別・分別せずに、すべてをありのままに直に把握する態度です。

ホロニカル心理学が、直接体験を実在するものとして、適切な自己自己組織化のための自己照合の手がかりと語るときも、相矛盾する態度を取ります。ひとつは、自己と世界の不一致時の現象世界を主客分離して、徹底的に主観的に考え抜くことです。そして、他方は、自己と世界の一致時の主客がまだ未分化で合一している刹那における直接体験をあるがままに直観することです。