即今、当処、自己

禅語に、「即今(そっこん)、当処(とうしょ)、自己(じこ)」という言葉があり、ホロニカル心理学が「今・ここ」の「一瞬・一瞬」を生き切ることを重視する立場と相似的のようです。

自己は一刻たりとも世界から切り離されて生きてはいません。世界から切り離された自己のイメージは考えだされた知的な自己に過ぎません。そのため生きた自己は、場所的自己として、一切合切の矛盾を場所的自己に映し、自己自身に抱え込みながら、過去を含み未来が開かれてくる一瞬一瞬を自己と世界の一致を希求しながら生きていくしかありません。

「即今、当処、自己」は、生死の矛盾の世界をあるがままに生きるのが本来の道とすれば、そうした生き方が大切とわかっていても、なかなか難儀な道でもあります。何故ならば、「即今、当処、自己」を大切にして生きるのだという我(現実主体)の意識すら忘れない限り、逆説的ではありますが難しいものでもあります。

 

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