外在化(3):みんなで問題を抱える

ある人の抱えている問題とは、決してある人だけの問題ではありません。ある所に、ある人が生きている限り、ある人は自らを含む一切合切の場所のもつ矛盾を自己自身に映し取り、自己の内に取り込み、ひとりでは対処できなくなっている状態といえるからです。

すべての人が場所的自己として、場所の抱えている一切合切の矛盾を自己に映し取り自己内に抱えざるを得ない以上、ある人の抱える問題とは、同じ場所に生きる人にとっては問題の自己に与える影響の大小強弱の差こそあれ、みんなの問題といえるのです。

ホロニカル・アプローチが重視する問題の外在化とは、ある人の問題の外在化ではなく、ある人が抱えている自己と世界の出あいの不一致感に伴う自己違和感を、みんなが共に俯瞰的に抱え込めるようにするための便宜上の手段といえます。

一切合切の矛盾の場所的自己への映し方や取り込み方には、個人差があるとはいえ、もともと場所の抱える矛盾を、ある人の自己違和感を通してみんなの問題として共有し、みんなで少しでも生きやすくなる道を共創していくための方法が外在化です。