生命(6):限りある命の意味

当たり前の事ですが、生命とは命に限りがあるからこそ生命といえます。死なきものは生命とは言われません。生命とは生と死の絶対的矛盾を背負ったものといえます。

生命の起源はまだ科学的には明らかになっていませんが、究極的な原点は、井筒俊彦の指摘する「存在と意識のゼロ・ポイント」から存在と意識に関わるあらゆる出来事が生成消滅の現象として創造されたところにあると考えられます。生命の生と死に関する絶対的矛盾の起源とは、宇宙の創生の物語にあると考えられるのです。絶対無から絶対有(相対無としての精神と相対有としての物質)の全宇宙が創生されたという絶対的矛盾に、すべての無常の生成消滅の創造的物語の原点があると考えられるのです。

生命の分裂・多様化と統一作用の原点は、精神と物質を対立的に捉えるパラダイムからは発見できず、そもそも物質現象精神現象を生み出した宇宙創生の究極点にあると思われるのです。