自己と世界(13):生き生きとした接触

現代社会では、自己と世界との生き生きとした接触を失った人が増えています。喜怒哀楽の豊かな体験がなく、モノトーン的にしか人生を感じることができません。

このような人は、ホロニカル心理学でいう外我による知的な思考ばかりが優位で、自己と世界の不一致・一致による生々しい直接体験を直覚する内我が脆弱化しています。そのため、生き生きとした感情体験自体を失っています。

内我が脆弱な人たちへの支援は、次のようなことがポイントになります。

・ごく限られた生活体験やちょっとした生活体験の変化によるまだ言葉にならない感覚を支援者が支持的に追体験しながら、微細かつ繊細な機微を徹底的に増幅・拡充しながら、そして共鳴しながら共有化する。
・不安なら不安、恐怖なら恐怖、緊張なら緊張、自己卑下的気分なら自己卑下的気分、絶望なら絶望などを、言葉にならない機微をそのまま支援者が包み込み込みながら、すべて被支援者の直接体験として照らし返していく。
・圧倒的なパワーをもって内我を批判し否定する外我と、そうした外我によって萎縮してしまっている内我との関係そのものを外在化し、外我と内我の悪循環パターンそのものを、被支援者と支援者が共同研究的協働関係を構築しながらあるがままに俯瞰する。
俯瞰的立場から脆弱な内我をエンパワ-メントしたり、外我のパワーを弱めるような働きかけを被支援者と支援者が共創しながら、外我と内我の対等な対話を促進していく。

こうした方法を使って支援することによって、内我が強化され、自己と世界の生き生きとした接触を取り戻すことが可能になりはじめます。