気分(6):気分の共有と自他分離

親密な人間関係では、情動感情などの気分の共有体験と、同じ気分を共有しながらも身体的には自他が分離していることを実感・自覚することの繰り返しが大切です。

同じ対象について注意を向けあっていることに気づいたときの一致体験は、同じ快の気分と結びつきやすくなります。しかし、いつも同じ気分の共有ばかり希求していては自他関係は融合化し自他分離が困難になります。

同じ対象に注意を向けても情動や感情などを共有できないときは、孤立した気分になります。しかもいつもそうした気分の不一致ばかりを体験していては人間関係の情緒的な絆が形成されません。

その意味では、親密な他者からの気分の共鳴による反射的共有と、対象を異なる身体を持った者同士が鏡映的に照らしあっているという自他の分離の実感が、ほどよい対人関係を形成していくと考えられるのです。

人間関係では、ほどよい不一致と一致の繰り返しが大切と思われるのです。