歴史的世界を映す自己

「今・この一瞬」に、過ぎ去った過去と未だ来たらずの未来が包摂され、過去と未来の不一致によって創造不断の命の創造的営みがあります。

過去と未来が対立しながら統一的にあろうするところに自己があります。

自己は一切合切を自己自身に映し取り、自己の内に包摂し、世界に働きかけながら生きる歴史的存在といえます。

「今・この一瞬」に過去によって作られた世界があり、未来に向かって開かれていく、時々刻々と時空を歴史的に深化させていく、非連続的な「今・ここ」に「自己」があるといえます。

 

創造不断:井筒俊彦が、西洋の絶対的時空概念に対して、東洋的時間意識として明らかにした概念(井筒俊彦著.コスモスとアンチコスモス.井筒俊彦全集,第9巻.慶應義塾大学出版会.2015.pp106-185)