
ホロニカル・アプローチによる家族面接や当事者参加型の共同研究的協働など、支援者と当事者が一堂に会しての「共創的対話の場づくり」の例を構成的事例によって示します。
最初にもっとも支援を必要としていると思われるAさんに、「生きづらさ」や「悩み」について語ってもらいます。この時、カウンセラーは、Aさんの語りの内容が、他の人自身の内的対話をほどよく刺激するように場を取り回していきます。そのためには、まずAさんの話がある程度語り終わるまで、カウンセラーは他の人が発言しないように配慮した上で、Aさんの悩みと語りの内容の要約をAさんに照らし返し、Aさん自身に要約した内容についての自己照合を求めます。そうすることでAさん自身の内的対話を促進するとともに、他のメンバーもAさんの内的対話のプロセスをその場で共有できるように心がけます。
同じことを同席している参加者の全員に繰り返していきます。
次に、「今のBさんの気持ちを聞いて、Aさんは、どんな気持ちになってきましたか」、「では、今のBさんの気持ちに刺激されたAさんの話を聞いて、Cさんは、今どんな気持ちになってきましたか」、といった具合に時間の許す限り、円環的な質問と要約をひたすら繰り返していきます。
カウンセラーは、異なる語りをひとつにまとめることも、整理することもせず、対話の中で、それぞれの参加者のこころの中で起きた小さな気づきと、小さな気づきがもたしたら影響の実感・自覚を促し、最後にAさん自身に、「今の気づきと、気づきのもたらす今後への影響について」語ってもらって終了とします。
大切ことは、Aさんの苦悩を「みんなで一緒に悩み一緒に問題解決を模索する場を構築する」ことです。ホロニカル・アプローチにおける場づくりは、問題解決を志向すること以上に優先されているのです。みんなで一緒に悩み一緒に問題解決を模索する場の働きがAさんに内在化されていくことがもっとも重要と考えているのです。