「IT(それ)」(5):絶対矛盾

「IT(それ)」絶対無(空)は、本来同一でありながら、絶対的に矛盾する関係にあります。

同一でありながら絶対的に矛盾することによって、相対有(物質)と相対無(エネルギー)からなる絶対有としての世界(宇宙)が、絶対無(空)から立ち顕れてくると考えられます。この世界は、絶対無(空)の無限の創造的な自己運動の顕れのようなものといえるのです。

「IT(それ)」は、絶対無(空)から絶対有の世界を創造する理であると共に、自らが創造した世界を総覧的統合する働きといえます。

自己は、そうした宇宙(世界)から創造される多様な万物の一つとして創造されます。自己は非自己としての世界から自存自立的に存在しているわけではないのです。

それ故、自己は、絶対無(空)と「IT(それ)」が、相即相入的な関係を持ちながら生成されていると考えられるのです。しかも、生成される自己は、常に、相対有と相対無が相矛盾しながら同一にあるという出来事として動的に立ち顕れていると考えられるのです。

そして、絶対無(空)から創造された万物や出来事は、いずれすべて絶対無(空)の世界に帰一し、また新たな万物や出来事を創造する源となります。

こうして、すべての出来事は、一即多・多即一、一即一切、相即相入といった円環的関係を無限・無常に繰り返しているといえるのです。