真の自己(1):本来の自己と省みられた自己

自己と世界の出あいによる不一致・一致直接体験レベルの本来の自己と、省みられた自己とは、区別する必要があります。省みられた自己は、自己と世界が不一致を意識する自己によって限定され、有限の自己として統一された自己を意味します。こうした自己が省みられた自己です。

それに対して、本来の自己は、自己と世界との不一致の面ばかりでなく、自己と世界が一致し、両者が無境界となって無限となることをも実感・自覚することのできる自己のことです。見られることも、対象化されて限定されることもない意識する自己は無限の立場となります。

意識の対象となる自己とは、自己と世界の関係が不一致であることを意識する自己の働きによって限定された有限の自己であり、意識する自己の働きは無限といえるのです。