反復強迫的思考(視野狭窄的思考)への対応:スポット法

矛盾・対立する出来事を止揚することができず、視野狭窄的な思考に陥っている被支援者への対応のひとつに、スポット法があります。

スポット法では被支援者によって直覚される直接体験から沸き上がってくる「ある気持ち」を特定し、その気持ちを小物で外在化し、紙の上に円で描かれたスポットの中心に置きます。

そして、外在化された「ある気持ち」を示す小物を、円の線分上を含み円の周辺のもっとも納得できる位置まで被支援者自身の手で移動してもらいます。このとき、円の線上にもっとも近い位置に置いておきたい気持ちから、円線からより遠方に置きたい気持ちがあるため、被支援者自身が「今・この瞬間」においてもっとも置きたい位置(小物の向きを含む)を被支援者自身が自らの直接体験と自己照合することを求めるように支援者はサポートします。「ある気持ち」の移動が終わったら、被支援者の直接体験から次に沸き上がってくる気持ちを待ちます。次の気持ちが沸き上がってきたら、先の手順と同じことを繰り返します。こうして沸き上がってくる気持ちが、ほぼなくなるまで繰り返します。
(注意:もし陰性の気持ちが無限に沸き上がる展開となった場合は、スポット法を中断し、被支援者に外の景色や深呼吸や構築されたB点の出来事の想起を求めるなどして、今・ここに安全感・安心感を体感できるようにします。落ち着いてから被支援者のスポット法の継続意志を確かめ再開の有無を決定します。中止を決定した場合は、その意志を尊重します。被支援者自身がスポット法の進行を自己決定できることがもっとも大切なポイントだからです)

スポット法によって、いろいろな気持ちを可視化できたらならば、今度は、改めてスポットの中心に置きたい外在化された小物(ある気持ち)を選択してもらい、その小物(ある気持ち)を置いてもらいます。次に、最も起きたい小物(ある気持ち)を置いたとき、他の外在化された小物(いろいろな気持ち)の各々がもっとも落ち着く位置を求め、それぞれ他の小物の位置の置き替えを求めます。

この作業が終了すると、もっとも中心に置きたい「ある気持ち」を中央の位置に置いたときの複雑な気持ちの新しい星座のような座標が再構成されます。

すると結果的に、最初のある気持ちばかりに視野狭窄的に執着していた複雑な気持ちの再編成が自ずと可能となります。

各小物間(いろいろな気持ち同士の関係)の新しい対象関係やネットワークの再構成は、スポット法実施前の反復強迫的思考の変容を、適切な自己自己組織化に向かって変容させることが自ずと可能になります。