ホロニカル・アプローチで行う呼吸法は、“こころ”を鎮めるという意味だけではなく、ありのままの世界に触れること、ありのままの世界に目覚めるためでもあります。
呼吸法を通じて、今・この一瞬・一瞬のありのままの世界に身を置くことに近づきます。
ありのままの世界には、自己にとっては「内」も「外」もなく、すべてがそれぞれでありながら、それぞれの境界が消融し、ただひとつの世界となります。すると、何らかの出来事にとらわれていた執着状態から解き放たれ、我が無となることで自己と世界が無境界となり、自己=世界=直接体験となります。
“こころ”を波のようなものとすると、自己と世界の出会いの不一致・一致の出来事は、いろいろな波になると喩えることができます。波立つときがあれば、穏やかになるときもあります。波立つときは、穏やかになるときもあることに気づくだけで、“こころ”が鎮まることもあります。しかし、波立つ“こころ”を鎮め穏やかになろうとすると、その意志の働きが、かえって“こころ”に余分な波をたててしまいます。むしろ波立つ“こころ”をそのまま眺め、沸き立つ“こころ”の波を消そうとしたり、直面しようとせず、そのまま眺めているうちに、打ち寄せる波をただ眺めているうちに、知らずのうちに“こころ”が鎮まってくるのです。
水の流れる音、流れる雲、空気の肌触りなど、今・触れいている世界をただ直覚することも、今・ここが、安全で安心できる場である限り、“こころ”を鎮めることができます。