“こころ”とは(69):自己再帰的自己言及的な“こころ”

“こころ”とは主体なき実在です。
主体なき実在でありながら、“こころ”自身が分化発展しながらも、しかも、すべてを統一します。

宇宙も、「存在と意識のゼロ・ポイント」(井筒俊彦)から創造され、自発自展的分化しながら自己再帰的な自己言及的な統一の働きによって絶え間なく自己組織化していると考えられます。

そして自己組織化する宇宙の創造的要素として誕生した私たちも、宇宙と自己相似的な生命として自己組織化を繰り返していると考えられます。

禅の修行を通じて大悟したとされる人は、我(現実主体)の我執を一切脱落し、まさに自己と世界の出あいの微細な生命プロセスのままに導かれ生きることに覚醒した人という意味と考えられます。“こころ”のおもむくまま真の自己を生きることが仏性(真理)そのものであると体得的に実感・自覚した人のことを意味すると思われます。