ホロニカル・アプローチと医療行為の差異について

医学によって定義される症状をエビデンスのあるとされる療法によって治療することと、生きづらさ(苦悩)をより生きやすい人生の発見・創造の契機としようとするホロニカル・アプローチは、支援の目的が異なります。

しかも両者の差異は、被支援者と支援者との関係性の違いをもたらします。治療では、最善の効果をもたらす医学的技術を科学的に選択し、かつその選択理由を患者に説明し患者の同意を得ることが治療者の責任として求められます。それに対してホロニカル・アプローチでは、被支援者の抱えてる生きづらさに対して、一緒に悩み一緒に考えながら、より生きやすい人生の道を共創的に発見・創造していくような共同研究的協働関係の構築が重要となります。

ホロニカル・アプローチは、心理社会的統合的アプローチであり、治療行為とは異なる行為です。医療が患者を対象とするのに対して、ホロニカル・アプローチでは、疾病を抱えた患者であるかどうかに関係なく、より良き人生を求める人ならば対象になります。

医療とホロニカル・アプローチは、両者の目的が異なるため、必要に応じて両者は併用が可能であり、疾病を抱えている場合には、両者を包括した支援が、もっとも包括的な支援になる場合があります。