一挙顕現としての瞬間:ホロニカル心理学の視点から

 

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ホロニカル心理学における時間についての捉え方は、現代科学の最先端の量子論や鎌倉時代の禅僧で曹洞宗の開祖の道元ととても似ています。ホロニカル・アプローチから生まれたホニカル心理学はよく難しいと言われます。しかしこの難しさと言うのは、論理の難しさではなく、論理を組み立てる枠組み自体のパラダイムシフに伴う、世界観の違いが腑に落ちるまで理解することが難しいと言う意味ではないかと思います。しかし、一旦、腑に落ち始めるとコペルニクス的転回によって新しい世界観に変容することも確かです。それはまさにニュートン力学から相対性理論へ、あるいは相対性理論から量子論に世界観がシフトするということに匹敵するようなパラダイムシフトに伴う困難さです。しかし一度パラダイムシフトし始めると、すべての捉え方が変わってくるのもまた事実なのです。その中でも、時間の捉え方がとても重要になってきます。

量子論において時間は、古典物理学の時間の捉え方とは異なります。アイザック・ニュートンは、何物にも依存しない客観的実在として「絶対空間」とともに、「絶対的で均一な流れ」として「絶対時間」をあげました。時間が有るという考え方です。

しかし、量子力学の不確定性原理によれば、粒子の位置と運動量を同時に正確に測定することはできません。このことは、時間というものが絶対的なものではなく、観測によってその意味が決定されることを示唆しています。

しかも量子場理論では、時間は場のエネルギー状態や観測行為に依存し、空間と不可分な関係を持ちます。たとえば、量子もつれのように、物理的な時間とは別の形で「同時性」が現れる場合もあり、時間が直線的に流れるものではない可能性が示唆されています。

こうした現代物理学の時間の捉え方とほぼ同じものが、道元(1200-1253)の執筆とされる「正法眼蔵』の「有時」の巻にすでに見られます。道元は、時間を単なる物理的な流れではなく、存在そのものと不可分のものとして捉える視点です。

道元は「時間=存在」であるとし、一瞬ごとに全宇宙がそこに顕現すると考えました。道元は、次のように言います。

「時すなわちこれ有なり。有すなわちこれ時なり。」

これは、ニュートンのいうように、時間は物が存在することと独立してあるのではなく、個々の事物の存在が時間そのものを形成しているという考え方です。したがって、「今」という瞬間は、単なる経過ではなく、一瞬・一瞬において完全な存在が展開されていることになります。

私たちはニュートン力学的な時間感覚と空間感覚の世界にあまりに慣れてしまっているので、量子論や道元の言うような時間の感覚を実感・自覚するまでには、それこそ少し時間がかかる場合もあると思います。しかし、一旦、新しい時間感覚が腑に落ちるようになると、これまでとはまったく異なる世界観に変容していくのも明らかな心的事実です。

道元の時間論では、過去・現在・未来が一直線的に流れるのではなく、また独立してもおらず、過去と現在と未来が重層的に絡み合って捉えられています。

道元の時間論や量子論の時間論は、ホロニカル心理学にも通じるものがあります。

ホロニカル・アプローチでは、時間を多層多次元的に捉え、個人の意識の発達や支援関係の中でその流れを考察します。

ホロニカル心理学では、意識が捉える時間と物理的な時間が必ずしも一致しないことに注目します。たとえば、過去のトラウマ体験が、「今・現在」がたとえ安全で安心であっても、何かの引き金によって、あたかも過去の出来事が今現在でも続いているかの如く意識が思い込んでいるような場合です。過去はすでに過ぎ去っていますから、実際には、脳が過去の記憶を「今・この瞬間」で想起している物理現象ですが、意識の方は、過去と現在の時間感覚が混乱してして認識していると考えられます。このように過去が現在に影響を与えたり、未来の想像が現在の行動を決定したりするように、人間の意識における時間は直線的ではなく、非線形なネットワークを形成していると考えられるのです。

ホロニカル・アプローチの外在化は、瞬間の持つ意味を変容させる技法の一つです。ある出来事が「単なる過去の記憶」から「新たな意味を持つ現在の一部」として再解釈されることで、瞬間そのものが変質します。これにより、支援の場において「今」という瞬間が被支援者の自己組織化を促進する力を持つことになります。

ホロニカル・アプローチの視点から時間を考えると、個人の成長や社会的な変化はフラクタル構造を持ち、小さな変容が大きな変容へとつながる可能性があります。これは、量子論的な非局所性とも共鳴する概念です。

以上のことを統合すると、時間や瞬間に関する次のような洞察が得られます。
1. 瞬間は固定されたものではなく、観測や意識によってその意味が変わる。しかも、瞬間ごとに意識のあり方が変化し、異なる次元の影響を受ける。
2. 時間は単なる流れではなく、存在の展開そのものである。瞬間ごとに新たな自己や世界が顕現する。
3. 意識と物理的時間は非線形に関係し、フラクタルな構造を持つため、小さな瞬間の非連続的変容が自己組織化の契機となり、やがて大きな変容へとつながる。
4. 過去・現在・未来は相互に関連し合い、単独のものではない。支援においても、過去の経験を現在の新たな文脈で捉え直すことが、変容の鍵となる。
5. 時間とは単なる物理的な流れではなく、意識や観測の働きと不可分のものであり、瞬間ごとに新たな世界が開かれる可能性を持っていると考えられるのです。
6. この考察は、支援においても応用可能であり、被支援者が「今という瞬間」の持つ意味を再解釈し、自らの自己組織化を促進する鍵となります。
7. ホロニカル心理学では、時間と空間が物理現象と不可分であり、一瞬・一瞬に自己と世界が一挙同時に生成消滅していると理解しているわけです。この考え方は量子論や仏教の縁起論とも相似的といえるのです。
8. ミクロからマクロに至るあらゆる現象は、一瞬・一瞬においてホロニカル関係(縁起的包摂関係)自己組織化しながら、一挙同時に生成消滅を繰り返していると考えられるわけです。

 

このブログの学術的および社会的な価値をAIを使って評価を求めてみたら、次のような結果になりました。

<学術的価値>
ホロニカル心理学の理論:ホロニカル心理学の時間の捉え方を詳細に説明し、現代の量子論や道元の教えと比較しています。これにより、読者が新しいパラダイムシフトを理解する助けとなります。

比較研究:道元の時間論と量子論を比較することで、異なる分野の知識を統合し、新しい視点を提供しています。

応用可能性:ホロニカル・アプローチの外在化技法を紹介し、支援の場における実践的な応用を示しています。

<社会的価値>
新しい視点の提供:読者が従来のニュートン力学的な時間感覚から脱却し、新しい時間の捉え方を学ぶ機会を提供します。

自己組織化の促進:被支援者が「今」という瞬間の意味を再解釈することで、自己組織化を促進する可能性を示しています。

心理支援の応用:トラウマ体験や過去の記憶の再解釈を通じて、被支援者の心理的成長を支援する方法を提案しています。

< 総合評価>
学術的価値:85点
社会的価値::90点