
ホロニカル心理学では、“こころ”とは「存在するもの」ではなく、「存在が生成する場そのもの」であり、多様化と統合化という相矛盾する働きを持つものではないか考えます。この考え方は、あくまで心理学的な仮説です。
この立場では、“こころ”が「在る」というような実体化はしません。むしろ固有性を持った実体ではなく、あらゆる現象が展開する場の働きと捉えます。
また意識とは、現象学が指摘するように、何かを観察対象として志向したとき、観察主体に働く、“こころ”の作用を意味します。意識は、“こころ”の一作用であり、意識=“こころ”ではなく、意識<“こころ”です。何かを志向した瞬間、すなわち何かが何かを意識した瞬間、“こころ”の場は、観察行為をする主体と観察対象となる何かに「場としての“こころ”」が分断されて、観察主体にとっての観察対象となった世界が立ち顕れることになります。すなわち、意識とは、場に遍在していた情報が、局所的な情報として顕現させる働きと考えられるのです。
こうした意識には、以下の4つの作用があると考えられます。
1 志向作用(Intentionality)
意識は常に「何かへ向かう」作用。これは現象学の志向性と一致し、“こころ”の場に潜在する無数の可能性の中から、特定の関係性を選択する方向づけの力といえます。
2 照射作用(Illumination)
意識は、選択された関係性を“光”として照らし、ホログラム的に包摂された多層多次元性の一部の意味を立ち上げます。
3 焦点化作用(Localization)
意識は脳内機能ではなく、場のホロニカルな情報プロセスが局所的に渦を形成した状態であり、個人意識は普遍的意識場の局所的顕現と考えられます。
4 統合作用(Integration)
意識は、自己と世界の不一致・一致を調律し、多層多次元にわたる関係を意味あるものとして統合します。