
「いい加減」という言葉は、使い方によってまったく違う意味になります。
あるときは、「ほどよく力が抜けていて、柔軟でよい感じ」という意味になりますし、またあるときは、「無責任で雑な感じ」という、あまりよくない意味でも使われます。
つまり、「いい加減」という言葉には、よい意味と悪い意味の両方があるのです。そこがおもしろいところでもあります。
私たちはつい、「きちんとしていること」が大事だと思いがちです。もちろん、それはとても大切です。けれども、何でもきっちりしすぎてしまうと、かえって苦しくなったり、身動きが取れなくなったりすることがあります。
たとえば、車のハンドルにも少し遊びがあるからこそ、かえって安全に動かせると言われます。人の“こころ”もそれと少し似ていて、少しのゆとりや幅があることで、そのときどきの状況に合わせて無理なく対応しやすくなります。
そう考えると、「いい加減」とは、ただ適当にすることではありません。
がんばりすぎず、ゆるみすぎず、その場に合ったちょうどよさを見つけていくことです。
“こころ”にとって大切なのは、いつも完璧でいることではなく、少し余白を持ちながら、そのときの自分や周りとの関係に合わせて、できるだけ無理なく整っていく方向を模索し続けていくにあるように思われます。