自己と世界は、一瞬ごとに出あい直している

AIで作成

ホロニカル心理学では、私たちは一瞬・一瞬自己と世界とが新たに出あいながら生きていると考えます。その出あいは、「一致」と「不一致」という二つのあり方を行き来しながら絶えず変化しています。

一致とは、自己と世界との境界がなくなり、一つになっている状態です。ホロニカル体験と呼びます。

たとえば、美しい夕焼けを見て思わず見入ってしまう瞬間、音楽に深く聴き入り、自分を忘れてしまう瞬間、あるいは夢中で何かに没頭して時間の感覚を失う瞬間があります。そのようなときには、「私が見ている」という感覚さえ薄れ、ただ世界だけが、そのまま立ち顕れてきます。

このような状態では、自己と世界はまだ分かれておらず、すべてが一つにつながった全一性の世界として経験されています。

一方、不一致とは、自己と世界とが分かれ、「私」と「対象」が区別される状態です。

たとえば、「これは何だろう」「どういう意味だろう」「どうすればよいだろう」と考え始めた瞬間、世界は観察や判断の対象となります。そして、自分はその対象を見つめる主体として立ち顕れます。

このとき私たちは、世界をそのまま見ているわけではありません。自分がもっている知識や経験、価値観、文化、立場などを通して世界を見ています。同じ出来事でも、人によってまったく違って見えるのはそのためです。

ホロニカル心理学では、この世界を見分ける枠組みをホロニカル主体(理)と呼びます。

ホロニカル主体(理)は、生まれつき固定されたものではありません。家庭での体験、学校や仕事、人との出会い、社会や文化などとの関わりを通して少しずつ形づくられ、生涯を通して変化し続けます。

そのため、私たちが経験する世界もまた、固定された一つの世界ではありません。同じ人であっても、年齢や経験が変われば世界の見え方は変わりますし、異なる文化や立場に生きる人は、それぞれ異なる世界を生きています。

つまり、私たちが経験している世界とは、「客観的に決まった世界」だけではなく、自分が歴史や社会との関係の中で意味づけながら生きている世界でもあるのです。

そして私たちは、生涯を通して、この一致と不一致とを何度も繰り返しながら生きています。

世界と一つになって深くつながる体験をし、そこから再び世界を見つめ直し、新たな意味を見出し、さらに深いつながりへと向かっていく。その往復運動のなかで、私たちは少しずつ変化し、成長していきます。

ホロニカル心理学では、人間とは単に社会に適応する存在ではないと考えます。

人は世界との出会いを通して自分自身を組み替えながら、同時に新しい意味や価値を生み出し、世界そのものにも働きかけていく創造的な存在です。

つまり、人は世界によって形づくられるだけではありません。世界との関係を変えることによって、自分自身を変え、さらに世界のあり方そのものにも参加し続ける存在なのです。