堂々めぐり(2):頑固な反復

AIで作成

対人支援の場では、被支援者が、どうしても納得できない過去の出来事を、つらい感情とともに何度も繰り返し語ることがあります。堂々めぐりです。

その語りには、その人なりの切実さがあります。ですから、まずはその苦しさを丁寧に受け止めることが大切です。けれども、ただ一緒に苦しさの中へ入り込み、ひたすら共鳴し続けるだけでは、かえってその苦痛が強まり、本人がそこから抜け出しにくくなってしまうことがあります。

ホロニカル・アプローチABCモデルでいえば、これはA点に強くとらわれた状態と考えることができます。A点とは、自己と世界とのあいだに大きなずれが生じ、その苦しさに“こころ”が引き込まれている状態です。

こうしたとき、支援者までその苦しみに巻き込まれてしまうと、その出来事を少し離れたところから見つめることが難しくなります。すると、支援の場全体が、苦しさそのものにのみ支配されやすくなってしまいます。

だからこそ大切なのは、支援者が冷たくなることではなく、あたたかさを保ちながらも、巻き込まれすぎないことです。被支援者が今、苦しさの中にいることをそのまま受け止めながら、「いま、このような状態にあるのですね」と、少し距離をもって一緒に鏡映的に俯瞰することが必要になります。

ここでいう鏡映的俯瞰とは、ただ同じ苦しさに沈み込むことではありません。むしろ、鏡のように相手の状態を映し返しながら、相手が自分自身を見つめ直せるように支えることです。そこには、近づくことと離れることの、ちょうどよいバランスが求められます。

そのようなかかわりが続くと、支援者の俯瞰的なまなざしが、少しずつ被支援者の中にも育っていきます。すると被支援者は、自分が苦しさにとらわれている状態そのものを、あるがままに見つめられるようになっていきます。

そのとき初めて、人は苦しさに飲み込まれるだけの状態から、少しずつ抜け出すことができるようになります。これは、つらさの中にいる自分を否定せずに見つめる力を育てることでもあり、自分を体験しながら同時に見守るという、二重のまなざしを育てていくことでもあるのです。