※「IT」は、2024.11.20以降、「それ(sore)」に統合されています。以下のブログは、統合前のものです。
人類は、自己または世界が存在する場に、すべてを総覧し統合する働きを実感するとき、その究極的なところに、ホロニカル心理学が「IT(それ)」と呼ぶ自己超越的主体の働きを実感・自覚してきました。
IT(それ)は、無にして、すべての絶対的総覧者であり、すべての統一力です。この統一力は、至るところに遍く働いています。
人類は、この働きに、自他愛を超えた神や仏の慈愛を感得してきたのです。
「IT (それ)」が場所的自己の内で働く限り、自己は直接体験を自己照合の手がかりとして、自己自身または世界を、自己と世界が一致する方向に向かって変容させようとします。こうした適切な自己の自己組織化が、自己の真の人格化を促進します。真の人格化に向かう自己には、自己と世界の不一致・一致の場所的自己を映しながら、出来るだけ自己と世界の一致の方向に自己及び世界を自己組織化しようとする「IT (それ)」の働きが自己内に自然に布置しているといえるのです。
しかしながら「IT(それ)」の働きを実感・自覚なき自己や場所的自己との対話軸を一切もたない「我(現実主体)」が自己及び世界を変容させようとすると、エゴイズムに陥り自己と世界の不一致の危機を高めてしまいます。
「IT(それ)」は、あらゆる場所で働いています。人は、自らの計らいや我欲を捨てた時、「IT(それ)」の絶対的な働きに対して「神」「仏」となづけるような働きを自分の生きる場所に感じてきたのです。こうした霊性的次元の働きは、理性の論理である科学でもって証明することはできておらず、こうした信仰・信心に近いものは、究極的には直観的な実感・自覚に基づくしかないといえます。
なお、宗教ではないホロニカル心理学では、「神」「仏」とは語らず、「IT(それ)」と呼んでいます。
現代社会は、「IT(それ)」や霊性的な場を忘却し、自然のもつ全一的統合的働きへの畏怖の念を喪失し、エゴにとらわれてしまったかのようです。