一瞬・一瞬(3):一切合切を包摂する瞬間

一瞬・一瞬に、一切合切が収斂します。そして、一切合切が、一瞬・一瞬において、混沌化と統合化が相矛盾しながら同一に働くところに、さまざまな出来事の自己組織化が起きると考えられます。しかも、一瞬・一瞬、自己は世界を自己に包摂しようとし、世界もまた自己を世界に包摂しようとします。自己は世界とのホロニカル的関係を構築しようと、それぞれが自己組織化を自発自展させつつも、自己と世界の間には、激しいせめぎ合いが起きることを避けられないのです。このせめぎ合いが、自己にとっては、重々無尽の現象世界となります。自己と世界の関係が、永遠に一致すれば、自己にとっては、もはや自己も世界もなき、すべてが永遠の今となります。

自己と世界の一切合切が矛盾なくホロニカル的に収斂した瞬間、自己と世界は一致しますが、自己が生きている限り、まさにその瞬間、自己と世界の不一致によって、再び多層多次元にわたって、自己にとっては、自己と世界のせめぎ合いの世界が自発自展することになります。生きる自己は、一生、こうした自己と世界の一致・一致の自己組織化を促進しながら、自己が世界に完全に包摂されるまで生き続けるといえます。

「今・この一瞬」には、一切合切の過去の矛盾が包摂され、かつ一切合切の矛盾をホロニカル的に統合しようとするところに未来が開かれます。しかし、生きる自己にとっては、自己と世界は即不一致となるため、また新たな自己と世界のホロニカル関係を求めることになります。

被支援者と支援者にとって大切なことは、両者が、同じ生きる場所において、ホロニカル関係を形成しながら、一瞬・一瞬の不一致と一致にあっても、より一致を求め合いながら、真摯にせめぎ合いあうことです。するとその場において、やがて被支援者と間に、一切合切の全てが、一瞬・一瞬に新たな秩序に向かって動き出すのです。一瞬にすべての矛盾を包摂しているからこそ、一瞬・一瞬の真剣勝負が、新たな創造を可能としているといえます。