真の自己(22):自己と世界の一体化

真の自己とは、自己と世界一体化した状態です。内と外の区別がなく、全てが一つになります。自己は世界であり、世界は自己として体験され、両者の間になんら区別がない状態が真の自己です。

自己=世界においては、見るもの・聴くもの・触るものと、見られるもの・聞かれるもの・触られるものの間の区別はありません。観察主体と観察対象との区別もありません。内と外の区別もありません。自己の内の直接体験に向かっていったら、自己の外であったという体験を実感・自覚した自己が真の自己です。

知る自己・聞く自己・触れる自己は、真の自己ではありません。それは我と言われるものです。自己が自己を対象としている限り、対象として把握しようとする自己も、対象として把握される自己もいずれも真の自己ではありません。

真の自己は、有機体としての身体的自己ではありません。身体的自己は、自己(我)によって観察対象として把握される自己であって、真の自己の全一性からすれば、ある部分でしかありません。真の自己は有機体としての自己を遥かに超え、あるがままの世界を実感・自覚しているのが、神秘主義において真の自己と言われてきたものです。

我を自己と錯覚していたことに気づいた自己には、自己と世界の関係が全くこれまでとは異なる全一の全体験になるため神秘主義的に理解されてきていますが、神・仏など宗教的枠組みでもって全体験を意味づけることを避けるならば、最も客観的に出来事を体験している状態といえます。