
主観的な気分が変わると行動はどのように変化するのか、あるいは行動を変えることで主観的な気分はどのように変容するのか。このように、観察主体と観察対象との関係や、その組み合わせの違いが、どのような変化や新たな関係性を生み出すのかを、メタ認知的に俯瞰し続けることが、ホロニカル・アプローチの大きな特徴です。
このとき重要となるのは、俯瞰する主体が、できる限り無批判・無評価・無解釈の開かれた態度を保つことです。しかし、このような態度を身につけることは決して容易ではありません。そこでホロニカル・アプローチでは、観察主体として俯瞰することが難しいという事実そのものを、無理に変えようとはせず、まずは無批判・無評価・無解釈の姿勢で、そのまま実感し、自覚することを大切にします。
文章で表現すると簡単に思われますが、このような俯瞰的態度は、一朝一夕に獲得できるものではなく、継続的な実践を通して少しずつ育まれていくものです。
対人支援者の場合には、事例に対するスーパービジョンや、援助者自身が教育的自己分析を継続的に受けることによって、自らの思い込みや価値判断に気づき、観察主体として俯瞰する態度を徐々に身につけていくことが可能になります。
この俯瞰とは、自分自身を客観視することだけを意味するのではありません。自己と世界、観察主体と観察対象とが相互に影響し合いながら自己組織化していくホロニカル関係そのものを観察し、その変容過程を実感・自覚していく営みでもあります。