「IT(それ)」とエス」について(1):ホロニカル心理学の捉え方

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“こころ”が、“こころ”自身を観想し、覚知しようとする瞬間に、“こころ”は,見られるものとしての「エス」と、見るものとしての「IT(それ)」が作用として生まれると、ホロニカル心理学では考えています。

「IT(それ)」は、叡智的覚知体であり、「エス」は、個別化を志向し、生成と破壊を司る存在エネルギーです。

「IT(それ)」は、多様化・個性化する一切合切を内からも外からも総覧し、全てを統合する作用で、「エス」は、多様化・個性化の生成消滅に遍く作用します。

「IT(それ)」と「エス」は、背反的関係にありますが、エスもIT(それ)も根源的な無差別であるゼロポイントである絶対無(空)という場に帰一します。

「エス」が多様化・個性化の作用というとき、“こころ”の全体が、多に分化して多様化・個性化するわけではありません。同じ“こころ”がそのまま多様化・個性化するという意味です。多様な面・個性的な面となって表現されるという意味です。全一的な“こころ”が,そのまま多面な“こころ”でもあるという意味です。華厳思想でいう一即多・多即一ということです。

「エス」の働きによって多様化・個性化しながら生成消滅する”こころ”が,そのまま「IT(それ)」の働きによって統合されているのです。

“こころ”とは、「IT(それ)」と「エス」が双面的に相矛盾しながらも同一にあるといえます。

全一かつ統合的な“こころ”が、そのまま同時に多の“こころ”となるような矛盾的性格を帯びた場が、“こころ”といえます。

そしてそのような場とは、仏教のいう「空」であり、哲学でいえば、「絶対無」とホロニカル心理学では考えます。

“こころ”とは、「エス」と「IT(それ)」の働きによって、有無からなる多様化する世界の生成消滅の場であり、同時に「絶対無」「空」といえるのです。